2023年03月

「クリーンルーム」とは?定義やしくみ、用途を初心者向けに徹底解説!

「クリーンルーム」とは?定義やしくみ、用途を初心者向けに徹底解説!

「クリーンルーム」は、あまり聞きなれないものかもしれません。そんな方も、TVなどで髪まですっぽり白い専用着で覆った人が工場や病院の無菌室で働くのを見たことがあるのではないでしょうか。また、クリーンルームの担当者になったものの、クリーンルームがどんなものか分からず困っている人もいるかもしれません。ほこりや汚れを持ち込まず清潔に保たれた部屋が「クリーンルーム」です。今回は、そんなクリーンルームの定義やしくみ、要となどを初心者にもわかりやすく解説していきます。

1.クリーンルームの定義は?

クリーンルームとは、「防塵室」とも呼ばれる部屋のことです。具体的には、次のように定義されています。

1-1.空気中の微生物や微粒子が少ない部屋

クリーンルームとは、「空気中に浮遊している微生物や微粒子が規定レベル以下の空気洗浄度にまで管理された部屋」と定義されています。「空気清浄度」とは、空気中の一定以上の大きさの粉塵の数量で表される空気のきれいさの目安です。この「微粒子」とは、目に見える100分の1の大きさのものを指します。

1-2.湿度と温度が快適な部屋

クリーンルームはさらに、「温度・湿度を快適な状態にして、外のゴミが侵入しないように空圧を制御した部屋」とも定義されています。

1-3.クリーンルームの規格

クリーンルームは、空気の清浄度によってクラス分けされています。1立方メートルの空気中に粒径0.1μm(マイクロメートル)の粒子の量によって、国際統一規格である「ISO規格」で「クラス1」から「クラス9」までの9段階に分けられています。クラスの数字が小さいほど洗浄度が高い空間だと言えますが、設備費やランニングコストがかかることになります。

2.なぜクリーンルームが必要なのか?

人の目に見えない微粒子や微生物をできる限り除去した清潔な空間は、なぜ必要なのでしょうか。クリーンルームを必要とする業界によって、クリーンルームは2つに分けられています。どのような業界でクリーンルームが必要とされているのか見ていきます。

2-1.工業用クリーンルーム

半導体や液晶、電子部品機器やプリント基板といった精密機器製造は、微細な粉塵や汚れの付着も大きな影響を与えてしまいます。また、製造者がかいた汗が落ちてしまうようなことがあっては、精密機器は正確に作れません。安心した製造のために作られたのが工業用クリーンルームです。徹底した粉塵管理が必要な製品製造においては、クラス3~5のクリーンルームが適当です。印刷工場や自動車工場などは、7~8クラスで対応できます。

2-2.バイオロジカルクリーンルーム

微粒子とともに空気中を浮遊する微生物や菌の数を徹底管理しなければならない食品加工や医療分野で用いられるのが、バイオロジカルクリーンルームです。食品加工(乳製品・食肉加工・発酵食品加工・醸造など)やバイオ関連、植物工場、研究施設など、バイオロジカルクリーンルームが必要な分野はさまざまあります。

また、病院においても無菌治療室や手術室など細菌やウィルス、カビなどの微生物による空気感染が起こらないよう、細心の注意を払う必要があります。そのような部屋にクリーンルームが適用されます。

3.クリーンルームのしくみ

クリーンルームには、空気を天井から下方に吹出し循環させる「パッケージエアコン乱流方式」や水平方向に吹出しさせる「水平層流方式」などさまざまな種類があります。ここではすべてのクリーンルームに共通する基本的なしくみを紹介していきます。

3-1.清潔な空気を循環させる

粒径0.3μm以上の微粒子を99.99%捕集する効果のあるHEPAフィルタを使い、集塵を行います。フィルタとファンが一体化したFFU(ファンフィルタユニット)を使い、部屋いっぱいにきれいな空気を拡散させます。

3-2.排気する

FFUの反対側の壁に排気口を設けることで、浮遊物が自然と押し流される気流が作られ清浄度を保てます。

3-3.密閉する

クリーンルームの室内に外部からの汚染流入を防ぐために、クリーンルームは密閉空間にする必要があります。そのためには室内は、室外よりも気圧が高い陽圧の状態を保たなければなりません。FFUによって常に空気を取り入れることで陽圧を保つとともに、入口を密閉するようにします。

4.まとめ

目に見えない微細なほこりや汚れ、菌などを持ち込まないクリーンルームは、さまざまな精密機器製造や食品加工、そして医療の現場など多岐にわたる分野で使用されています。クリーンルームの設備や運営にはコストがかかります。使用する目的に応じたクラスのクリーンルームを選べば、コストの無駄が省けます。現在、さまざまな分野でクリーン化が進められているので、今後もクリーンルームの需要は拡大していくでしょう。

医療・宿泊・介護施設に特化した清掃業を手掛ける「株式会社マコトサービス」では、クリーンルーム向けの消毒や環境モニタリング測定を行っております。クリーンルームが実際に清潔な状態を保てているかどうかを測定するとともに、普段手の届かない所まで徹底消毒いたします。クリーンルームの日常清掃も、専門的な教育を受けたスタッフが行います。ぜひお気軽にご相談ください。

医療施設でのクリーンケアシステムを生かした清掃の流れとは?詳しくご紹介

医療施設でのクリーンケアシステムを生かした清掃の流れとは?詳しくご紹介

医療施設は、さまざまな感染症の危険であふれています。その中で患者さんや医療スタッフの皆さんの安全を確保するために、クリーンケアシステムが助けとなります。ここでは医療施設がもつ、他の施設とは異なる特性について、そして清掃法とは具体的にどのように行うのかをわかりやすくご紹介しましょう。

1.院内清掃が他の一般的な清掃と異にする点

医療施設での清掃の場合、他の一般的なビルやオフィスの清掃業務と比較して、かなり異なる点が多くあります。それは医療施設であることによる、独特な状況があるからです。単純に清掃作業を行うというひと言では済まされません。ここでは、医療施設における清掃が、他の一般の清掃とどう異なるのかについてご紹介します。

1-1.人の動きの中で行われる

一般のビルやオフィスの清掃作業の場合、そこでの業務が行われない日や時間を狙って、清掃作業を行うことがほとんどです。ところが、医療施設では、誰もいないという状況は起こりません。入院患者がいたり、24時間体制でスタッフが入っていたりすることも多いでしょう。ですから、作業はそのような人々の存在を念頭に置いて行われなければなりません。

1-2.さまざまな施設が複雑に存在している

たとえば病院は、診察室・処置室・手術室・病室・検査室・ICU・事務室などがあります。それぞれの施設の性格に応じた清掃の方法が適切に行われる必要があるでしょう。そしてそれらは前回の記事でご紹介した「ゾーニング」によって区別されています。そのそれぞれに求められる清浄レベルや方法で清掃が行われなければなりません。それにより、医療施設の清掃はより複雑となるのです。

1-3.さまざまな取り扱いの注意が必要な機材・機器や用具がある

医療施設には、さまざまな検査機器や薬品、精密な器具などが多く存在しています。清掃作業を行う際は、それらの取り扱いや振動・衝突などに注意をしなければなりません。また、小さな埃を残すことすら許されないエリアもあるので、全く気が抜けない作業を強いられます。

1-4.作業場の安全性が格段に異なる

医療施設で発生する廃棄物(ゴミ)の中には、患者の血液が付いた注射針や消毒綿などがあります。また、処置の際に発生する患者の体液が付着したガーゼ・手袋など、感染の可能性がある廃棄物の扱いについても慎重でなければなりません。

2.クリーンケアシステムによる清掃法

医療施設は、独特な環境や状況があり、そこでの清掃作業は、一般のビルなどの清掃の方法とは大きく異なることを述べました。そのような環境での清掃は、クリーンケアシステムという独特の基準と方法によって行われています。ここでは、それに則った作業法で注意されている点などについてご紹介します。

2-1.適したモップの使用

小さな埃やクズは、医療現場の大敵です。もし埃を残せば、それがウイルスや病原菌などの温床となり、より不衛生となってしまうからです。

清掃の際には、埃をできるだけ確実に取れるようなものを使用します。たとえば、ドライモップ(乾式)とウエットモップ(湿式)のように使い分けを行いましょう。また、色の異なるモップを、それに対応するゾーンで使用したり、より除去率の高いマイクロファイバー製のモップやクロスを使用したりします。

2-2.厳選された洗剤の使用

清掃といえば、使用する洗剤も重要です。使用するクリーナーは、EPA(アメリカ環境保護局)に登録されたものを使用するケースが多いでしょう。それらの成分により、ウイルスに対して効果が現れるとして使用されている施設が多く存在します。

2-3.日常清掃の方法

日常清掃とは、毎日行われる清掃作業の事で、病室や患者が毎日利用する場所での清掃を指します。日常清掃には鉄則があり、たとえば順番に関しては「奥から手前に」「上から下に」「左方向と右方向を、重複部分を作りながら繰り返し拭く」事を基本として、丁寧に清掃を行いましょう。

モップによる清掃について、水を含めるかどうかで「乾式清掃」と「湿式清掃」とがあり、それらを効果的に組み合わせて行います。「乾式清掃」と「湿式清掃」のそれぞれにモップの使い方を決めて行います。

2-4.感染経路の遮断を意識して

同時に日常清掃では、感染防止に当たるという本来の目的をもとに、感染経路の遮断を行いましょう。施設にいる人が、手を触れる機会が多い場所の除菌作業を徹底して行います。たとえば、ドアノブ・取っ手・エレベーターのスイッチ・手すり・壁などは、丁寧にかつこまめに清掃作業を行うべきです。

また、手を触れられない場所であっても室内環境や換気を行い、窓や通気口・エアコンの吹き出し口も埃を取り、通気を良くしておく必要があるでしょう。そのような点からも、病原菌が増えにくい環境づくりを目指しましょう。

2-5.血液・体液の扱い

CDC(米国疾病管理予防センター)で定められた、血液や体液による汚染時の対処法があります。
1点目に、「こぼれた血液、あるいは他の潜在的に感染可能な物質が流出した場合は、速やかに清掃をし、汚染除去を行う」ことです。また2点目は、「血液あるいは体液のこぼれた場所を掃除した後、500~615ppm程度の、次亜塩素ナトリウム製剤で、表面を消毒すること」とあります。

4.まとめ

他の一般の施設とは異なり、さまざまな感染の危険のある医療施設での清掃は、より確実に行う必要があるでしょう。感染を防ぐために、クリーンケアシステムがあり、細かな方法が示されています。それに加えて、医療スタッフと清掃スタッフの広い知識と技術によって、施設内の安全が保たれるのです。

「株式会社マコトサービス」では、知識と技術豊かな清掃作業をお手伝いさせていただいております。確かな清掃、確かな医療施設の安全確保について取り組まれておられる方、関心がおありの施設の方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。ご相談にも誠心誠意お応えいたします。

感染を防止する清掃プログラム「クリーンケアシステム」独自の社員教育とは?

感染を防止する清掃プログラム「クリーンケアシステム」独自の社員教育とは?

「クリーンケアシステム」とは、ただきれいに清掃するのではなく、科学的根拠「EBM」に基づいた高水準清掃プログラムです。スタッフは、感染経路を遮断して二次感染を防ぐための独自の清掃プログラムを徹底的に研修しています。また、クリーンケアシステムは医療施設専用の清掃プログラムであることから、スタッフは清掃技術に加えお客様視点に立ったホスピタリティも十分教育を受ける必要があります。クリーンケアシステム独自の社員教育について、詳しく紹介していきます。

1.採用時研修

スタッフ採用時には、クリーンケアシステムの技術に加えて、マナー・接遇や危機管理についても教育が行われます。病院で働くスタッフや患者さまによりよい環境を提供するべく、専門チームで採用時研修に当たり継続的な人材の育成を図っています。

1-1.マナー・接遇

清掃技術はもちろん、医療施設での清掃だからこそ必要なものは適切なマナーや接遇です。医療施設を訪れる外来の患者さんや入院中の患者さんにとっては、清掃員も病院のスタッフの一員であり医療従事者としてみなされます。具合の悪い状態にある患者さんの心に寄り添えるような温かな対応ができるように徹底して指導していきます。

1-2.技術研修

医療施設の清掃は、「汚れの除去行為」という側面と「清潔を維持する行為」という側面が必要です。また、時には血中病原体の安全な処理も行うことになります。科学的根拠に基づいた清掃方法を、徹底的に学びます。

待合室などの「一般清掃区域」と手術室などの「清掃区域」、トイレなどの「汚染拡大防止区域」をそれぞれ分けて清掃する「ゾーニング管理」はその1つです。感染経路や感染リスクについて正しい知識を持った上で、ゾーンごとにクロスやモップなどの清掃用具を分けて使うことを徹底して覚えます。

マイクロファイバー製品の掃除用具や転倒防止の安全基準を満たしたワックス、EPA登録クリーナーなどの使い方、接触感染の経路になり得やすい部分(エレベーターのボタン・手すり・ドアノブなど)の除菌の徹底、六面体(床・壁・天井)を意識した清掃方法について実践的に研修をしていきます。

1-3.危機管理教育

感染症に対する標準的な危機管理「スタンダードプレコ―ション」についての研修では、「感染症の伝播経路にならないように自分の身を守ること」を具体的に学んでいきます。

さらに新採用者は、病原性の強い感染症の伝播経路にならないことを覚えます。病原性の強い感染症とは、具体的にはインフルエンザやノロウィルスなどです。このような感染症の流行期前には、新採用者のみならずスタッフ全員で感染症についての基礎知識の確認をします。

そして、インフルエンザの流行期前にはスタッフ全員が予防接種を完了させる、マスク着用を徹底する、ノロウィルス流行期には接触部位を次亜塩素酸ナトリウムで拭き上げたり手袋の取り換え頻度を上げたりするなど、感染症の特徴に応じた遮断策を徹底します。

1-4.情報管理教育

医療施設で働く際には、患者さまの病状などプライベートな面を目にすることが多々あります。また、医療施設についての情報も、決して漏えいすることのないよう、情報管理教育を徹底して行います。

2.スタッフ研修

スタッフへの研修は、新採用時だけではありません。月に1度程度、経営者さまや管理者さま、現場職員さまと清掃についての意見交換をする「定例清掃会議」と、半年に一度お客さまや本部員に実施する「満足度・美観度アンケート」の結果についてフィードバックし、問題点の改善を行います。また、定期的にフォローアップ研修も行っていきます。

3.責任者研修

クリーンケアシステムのプロとして新人・中堅を育成し、適切な管理業務ができるように、責任者もまた研修を続けていきます。また、事務所責任者会議を定期的に行い、責任者同士の横のつながりによる情報交換も行います。感染症への対応は日々情報が更新されていきます。それに即時対応し全スタッフに周知徹底できる体制を、責任者を筆頭に構築しています。

4.まとめ

ビルやオフィスなどの一般的な清掃業務とは異なり、医療施設の清掃は特別な配慮や技術が必要になります。なぜなら、医療施設には具合の悪い患者さまが集まる場所であり、感染症が持ち込まれた場合重篤な症状に陥ってしまう危険があるからです。そのような医療施設の清掃業務に当たるスタッフには、クリーンケアシステムを徹底的に教育する研修体制が必要です。

医療・宿泊・介護施設専門の清掃を行う「株式会社マコトサービス」では、患者さまや病院スタッフの皆様に安心していただける院内清掃を目指した清掃プログラム「クリーンケアシステム」を導入しております。クリーンケアシステムのプロとしてのスタッフを養成するために、日々研修や社員教育を行って、感染症に関する知識や清掃技術を磨いています。茨城県を中心に、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・栃木県・群馬県・福島県・山梨県・長野県・静岡県の医療施設にうかがいます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

感染症対策・衛生管理を守るクリーンケアシステムの考え方とは?詳しくご紹介

感染症対策・衛生管理を守るクリーンケアシステムの考え方とは?詳しくご紹介

感染症の多い現在にあって、医療現場や高齢者福祉施設などでの衛生管理の重要性は、非常に高くなっています。とくに、清掃に関しての考え方や技術が見直されています。その中で注目され、採用されているのが「クリーンケアシステム」です。ここでは、医療現場での取り組みを中心に、クリーンケアシステムの内容についてご紹介します。

1.医療施設などに広がるクリーンケアシステム

今、人々は感染症に対して関心が高く、敏感であり、その意識や体制を施設にも求める動きが高まっています。とくに病気に対しての抵抗力の低い方が集まる病院などの医療施設や、高齢者や乳幼児が集まる施設に関しては、徹底した衛生管理が必要です。またその体制自体で、その施設の良し悪しを判断されがちな現状もあります。そのような施設でのクリーンケアシステムの考え方についてご紹介します。

1-1.クリーンケアシステムとは

施設によっては、徹底した感染防止を行うことの必要性の高いところがあります。医療施設、高齢者や乳幼児の集まる施設などが該当するでしょう。感染症に対しての抵抗力が弱い人のための施設は、感染症対策のシステムが十分に働いていなければなりません。

ただ施設をきれいにするというだけではありません。施設においては、科学的根拠をもとに施設内での感染を食い止め、清潔さや快適さを作り出す体制が求められます。これを「クリーンケアシステム」と呼びます。

1-2.CDCガイドラインとクリーンケアシステム

クリーンケアシステムを実現していくうえで土台となるのが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)で定められたガイドラインです。

CDCとは、国内外における人々の健康と安全の保護について主導することを目的とする、アメリカの連邦組織です。CDCの目的は、「疾病・傷害・および障害の防止と管理により、健康と生活の質の向上を図ること」とあります。健康についてのさまざまな情報における信頼性の検証や、国内外への情報提供の働きを担っています。CDCは、最近さまざまな感染症についての対策についてニュースで紹介され、耳にすることが多いでしょう。

日本の厚生労働省が、「介護現場における感染対策の手引き」においてCDCガイドラインの「標準予防策」を示してから、国内においてもそれに則った制度が作られ、他の施設でも適用され今に至ります。

1-3.医療現場とCDCガイドライン

2022年2月発行の日医雑誌第127巻第3号に、福岡大学医学部講師である向野賢治氏が、「院内感染の標準的予防策」という原稿を投稿しています。そこには、CDCのガイドラインを受け、日本の医療現場での理想的な予防策について述べられています。

CDCのガイドラインは、「標準予防策」と「感染経路別予防策」という2つの予防策について示しています。それをもとに、さまざまな感染症に対してのこまごまとした対応についてまとめられています。

標準予防策においては、感染者との接触に対する対応について言及されています。感染経路別予防については、感染の要因である「感染源患者」、「感染経路」、「感受性患者」の三者のうち、感染経路を最重要として、それを遮断する方法について打ち立てられているのです。それをさらに掘り下げ、「空気予防策」「飛沫予防策」「接触予防策」の3つの側面から感染経路を絶つことが示されています。

そしてその策をベースとしてシステムを構築し、さらに設備や用具により衛生面を推進させることで、クリーンケアシステムが成り立つことを向野氏は提唱しています。

2.ゾーニングを生かした徹底した清掃

施設内で病気の感染を起こさないためには、もちろん必要な場所の殺菌・消毒作業も必要ですが、同時に徹底された清掃も重要です。その一つの方法として「ゾーニング」という考えに基づいた清掃法があります。ゾーニングとはどのような考え方なのか、医療の現場ではどのように生かしているかについて次に解説します。

平成27年度に、「院内清掃ガイドライン」が発表され、医療機関における衛生保持のための基準が発表されました。これは、医療法第20条において示されている「病院等の医療機関について清潔を保持すること」という医療施設の業務上の義務について、その「清潔さ」の基準が施設によってばらつきがあったという現状を受けての事でした。

「院内清掃ガイドライン」で最初に挙げられた概念が、「ゾーニング」です。医療施設の中には、徹底された清潔度を維持することが求められる手術室や、汚染されたものを管理する場所などが、混在しているのが通常でしょう。そこで、それぞれの目的の場所ごとに清潔にするレベルを設定し、それぞれの「ゾーン」の環境の管理をしようという考え方が「ゾーニング」です。

ガイドラインでは、施設内のそれぞれの部屋を洗浄度クラスⅠからVに振り分け、衛生管理の細かなラインを設定しています。具体的には換気の頻度・室内圧・給気最終フィルタの効率などを数字で設定し、管理しやすくしています。

さらに、それぞれのエリアを色で表すという工夫もしています。青は清潔エリア(清浄度クラスⅠ・Ⅱ)、緑は通常医療エリア(清浄度クラスⅢ・Ⅳ)、白は一般エリア、黄色および赤は汚染拡散防止エリア(清浄度クラスⅤ)とされています。その色は清掃道具に反映させ、その場所に最も適した効果的な清掃道具を使うようにしているのです。またその使い分けは、道具によって感染源を広めないための方法でもあるのでしょう。

3.まとめ

今世の中で感染症の予防や衛生管理への関心が非常に高い中、医療施設をはじめとする各施設は、徹底した管理体制を組みつつ業務に当たらなければ、人々に認められない状態にあります。そこで基礎となるのがクリーンケアシステムです。これは、その施設が、より安心して利用ができる証にもなります。

「株式会社マコトサービス」では、クリーンケアシステムを実施するためのあらゆる技術と知識によって、さまざまな施設が安心して利用されるような環境づくりをお手伝いしております。そのような体制つくりを検討されている施設の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。誠心誠意ご要望にお応えいたします。